目次
世界標準はどうか
表1は、レースの平均スプリット/500mに対する%です。
それぞれRowingFaster Second Edition、Race Strategy内のタイムカーブ(P.260)および、2017年-2019年の世界選手権とワールドカップ3エイト決勝のタイムカーブです。
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | |
RowingFaster II | 102.56 | 99.05 | 98.47 | 100.05 |
2017-2019WCH&WC3_8+_FinalA | 101.93 | 99.07 | 98.00 | 100.81 |
表1を比較しても、あまり違いはありません。熟達したクルーは1Qから順に、平均ラップに対して102%-99%-98%-101%ほどのタイムカーブを描くことになります。
注目の記述は、
In other words, if a crew put all efforts in the first 500 m of the race, then the tactic would be one of winning at all costs. If a crew saved energy for the last 500 m, then it had more chance to win a medal but fewer chances to win a gold medal.
RowingFaster SECOND EDITION Volker Nolte著 P.262より
(前文から続き、)すなわち、最初の500mに全力を注ぐクルーは、その戦術は勝利することのみに全てのコストを投じることになるだろう。最後の500mにエネルギーを温存するクルーは、メダル獲得の可能性を高めるが、金メダル獲得の可能性を下げることになるだろう。
私の拙い訳ですが…大きく外れてはないと思います。
我がクルーの傾向
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | |
2019全日本 | 102.31 | 99.76 | 97.42 | 100.65 |
2019OX | 100.68 | 99.28 | 98.25 | 101.87 |
2018全日本 | 104.16 | 100.70 | 96.41 | 99.04 |
2017全日本 | 103.80 | 100.42 | 97.26 | 98.74 |
2017-2019平均 | 102.74 | 100.04 | 97.34 | 100.08 |
表2より、102.5%-100%-97.5%-100%ほどのタイムカーブを描くことになります。
上記世界標準と比べると、1-2Q寄りで、3Qが落ち気味なのが分かりますね。
全日本エイト決勝の平均値
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | |
2019 | 101.21 | 99.86 | 98.78 | 100.23 |
2018 | 103.14 | 100.17 | 97.03 | 99.89 |
2017 | 103.72 | 99.21 | 97.77 | 99.51 |
2017-2019平均 | 102.69 | 99.75 | 97.86 | 99.88 |
102.5%-99.5%-98%-100%です。大体、我がクルーとも同じ傾向ですが、2-3Qが違いますね。
サンプル数が少なく、本当は10年分くらい辿ったうえで、外れ値など考えた方がより正確かもしれないですが、傾向は掴めると思います。
これがエイト決勝のみの傾向なのか、日本全体としてなのかは分析していませんが、仮に世界標準に近づけていくのであれば、全日本決勝の横並び・高いプレッシャーの中でも、リズムを乱さず、よりイーヴンペースでレース展開できる力をつけていく必要があります。
全日本エイト4位クルーはどうか
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | |
2019AllJapan-4th | 102.29 | 100.66 | 99.70 | 97.47 |
2018AllJapan-4th | 104.77 | 101.13 | 95.49 | 99.07 |
2017AllJapan-4th | 103.53 | 98.86 | 98.12 | 99.66 |
2017-2019AllJapan-4th平均 | 103.53 | 100.22 | 97.77 | 98.73 |
2017-2019AllJapan平均 | 102.69 | 99.75 | 97.86 | 99.88 |
RowingFasterの記述が気になったので、4位クルーについて少し見てみます。
純粋なスピードではなく、そのクルーの平均ラップに対するパーセンテージではありますが、4位クルーは1Qで勝負をかけて3Qでは消耗し、4Qもあまりスピードを上げられないという傾向はあるかもしれません。
2018年は特に1位と4位のクォーターごとのタイム変動が大きく、2位と3位は小さいですね。
もう少し詰めて見ていくと何かわかるかもしれませんが、今回はここで終わりにします。